アスペの人に向いている仕事を考える〜翻訳編【発達障害の適職】

アスペの人に向いている仕事を考える〜翻訳編



ASDの適職について、今回は③の翻訳についてまとめます。

 

アスぺの脳は語学に向いている、翻訳は特に得意

言語性優位ASDの脳は語学に向いている。アスペが英語を勉強するメリット

2019年8月22日

こちらの記事にも書きましたが、ASDは長期記憶が得意な脳を持っています。

膨大な単語や文法を覚えたり、論理的に組み立てるのも得意。つまり語学に向いている脳なのです。

実際にTwitterで交流しているASDの方は、英語が得意な方が多いような気がします。

そしてこれは健常者にも言えることですが、女性の方が語学向きな脳みそのようです。

 

でもASDの方の問題なのですが、やはり喋るのが苦手だったり臨機応変な対応が苦手だったりします。

語学が得意なことでできる仕事と言えば、観光・ホテル・航空関係・通訳・英語の先生など・・・想像できるかと思いますが、どれもASDに苦手な「喋る」仕事ばかりなのです。

観光や航空などは天候が悪いだけで全部変更になったり怒られたりしますし、臨機応変なマルチタスクがスタンダードですから、マニュアル人間でシングルタスクなASDは混乱してしまいます。

そんなASDでも、向いているかつ語学力をお金に変えられる仕事があります。それが翻訳です。

アスペに「ライター」が向いていることは以前こちらの記事に書きましたが、外国語版ライターと言えるのが翻訳なので、やはり向いています。

アスペの人に向いている仕事を考える〜Webライター編【発達障害の適職】

2019年6月23日

と言うより、ある言語を別の言語に組み立て直すという意味ではプログラマーの方が近いかもしれません。

 

翻訳をするのに必要なスキル

翻訳の仕事をするのに必要な能力は以下の4つだと思います。

翻訳をするのに必要なスキル

① 語学力

② 専門分野

③ 日本語の文章力(英日翻訳をする場合は特に大事)

④ 外国文化の理解

①は言わずもがな、②③④も同じくらい大事です。

なっつんが使える外国語は英語だけなので、今回は英語を例に話を進めます。

 

① 翻訳をするのに必要な英語力の目安

英日翻訳をするのか、日英翻訳をするのかにもよります。

なっつん

英日翻訳は、英語の文章を日本語に訳すこと。

日英翻訳は、日本語の文章を英語に訳すことです。

当然ながら、日英翻訳の方が高い英語力が必要です。英語を文法にミスなくスラスラと書けるレベルが必要です。

対する英日翻訳は、英語を読んで理解できればOKなので高いレベルは求められません。どちらかと言うと日本語の文章力や言葉選びのセンスが大事になってきます。

目安で言うと必要な英語力はこのくらいです。

翻訳に必要な英語力の目安

日英翻訳→ TOEIC800点以上・英検1級

英日翻訳→ TOEIC600〜800点ぐらい・英検準1級

 

② 専門分野

必須ではないですが、専門分野があると強いです。

翻訳の仕事は、文芸翻訳(本や小説の翻訳)産業翻訳(技術書やマニュアルなどの翻訳)に分けられます。

需要が圧倒的に多いのは産業翻訳の方なのです。

つまり、産業翻訳ができた方が仕事が安定します。

産業翻訳の中でも特に需要が多いのがIT・医療・法律・特許の分野、中でも稼ぎやすいのは医療と特許です。高い専門知識が必要ですから。

大学や専門学校でこれらの勉強をしていたという方は、チャンスです。

もし現在英語が苦手でも、ちょっと英語の勉強をするだけで翻訳の仕事で食っていけるようになるかもしれません。

なっつん

文系で英文科を出てTOEIC900点です〜と言う人より、理系で研究をしていてTOEIC600点です〜と言う人の方が、翻訳の仕事はたくさん見つかるし稼げます。

では逆に文系で英語は得意だけど専門知識が何もないと言う方は、講座を受けることで翻訳のための専門知識をつけられます。

DHCの翻訳講座は初心者でも分かりやすくまとまっているのでおすすめです。

文系でも医薬や特許などの知識をつけられます。

 

③ 日本語の文章力

英日翻訳をする場合、英語力より日本語力の方が大事です。書くのは日本語の文章だからです。

それも思うままに自由に書くと言うより、すでにある文章を別の言語に書き換えるわけですから、小説やブログを書いたりするのとは別の文章力が必要になってきます。分かりやすく説明する能力と言うのでしょうか。

また、日本とは全く違う文化のことが書かれていたり、日本語で上手く訳せないような表現が出てくるわけなので、そこを日本人でもスッと理解できるように書き直す必要があります。

映画の字幕翻訳など、字幕版と吹替版で台詞が全く違ったりしませんか?

書き手の言いたいことを表現するために、時には全く違う日本語の言い回しを使う必要も出てきます。言葉選びのセンスが大事です。

 

④ 外国文化の理解

翻訳をするには、現地の文化や習慣をよく知っている必要があります。

スラングなどが一例です。

分かりやすい例を挙げると、こちらの文章、みなさんなら何と訳しますか?

In my book, my job is a piece of cake.

「私の本の中では、私の仕事は一切れのケーキだ」と訳したでしょうか?

正解は、「私が思うに、私の仕事は簡単すぎる」っていう意味なのです。

“in my book”は私の本、ではなく「私の意見では」。

“a piece of cake”は「楽勝」「朝飯前」という意味のスラングです。

有名な表現なので知っている方も多いと思いますが、知らないと「一切れのケーキ」とうっかり訳してしまいますね。

このように現地の人の話し方、ちょっとした言い回し、など理解していないと正確に訳せないことはたくさんあります。

なっつん

私はブログ記事の日英翻訳の仕事を受けたことがありますが、「セブ島の観光名所の説明」を訳す時に苦労しました。セブ島に行ったことがないから、想像で書くしかなかったからです。

これがセブ島に訪れたことのある方なら、景色や雰囲気など鮮明にイメージできるので、言葉も出てきやすいのだろうなと思います。

 

どこで翻訳の仕事を見つけるか?

① クラウドソーシング

1番簡単な方法はクラウドソーシングです。

私が1番最初に翻訳の仕事をもらったのは25歳、発達障害を診断されて仕事を休んでいた時期でしたが、クラウドワークス 経由で仕事を見つけました。

クラウドワークスには日英翻訳・英日翻訳を始め、中国語や各種言語の翻訳の仕事がたくさんあります。

特に英語以外の言語ができる方は少ないので、言語スキルをプロフィールに登録しておくだけで向こうから仕事が来るかもしれません。

 

② ココナラ

ちょっとお小遣いが稼ぎたいなら、 ココナラ を利用するのもおすすめです。

最近テレビでCMをやっているのでご存知の方も増えてきていると思いますが、ココナラは自分の持っているスキルをスマホ1つで販売できるサービスです。

「外国語」「翻訳」の分野もあるので、サービスとして出品しておくと利用者が見つかるはずです。

「外国人へのメールを翻訳します」というカジュアルなものから、「プレゼン資料を英訳します」「英語の論文を添削します」などの本格的なものまで。

自分の得意分野やできる量に合わせて出品できるのもココナラの良いところです。

 

③ 翻訳会社に就職する

本格的に翻訳で食べていきたいというレベルの熱意の方なら、この方法が良いと思います。

また文芸翻訳や字幕翻訳は狭き門ですが、翻訳会社ならチャンスが得られるかもしれません。

実際に大学時代の先輩で字幕翻訳家を目指している方が翻訳会社に入っていて、動画の翻訳などをしています。

フリーランスで自分で仕事を取っていくにしてもやっぱり実績があった方が有利ですし、1回就職してから在宅で働くのを目指す方が効率的かもしれません。

問題は、翻訳会社の数自体も、求人を出しているところの数も少ないこと。

近くの翻訳会社を調べて直接連絡を取ってみると良いかもしれません。

 

④ Webデザインの依頼を受注する時にオプションで翻訳をつける

ちょっと例外的な方法ですが、現在私はこの方法を使って翻訳でお金をもらっています。

私はWebデザイナーを本業にしていますが、Webサイト制作のオプションに「翻訳」をつけたところ、なかなか需要があることが分かりました。

特に飲食店・観光地などの外国人のお客さんを呼び込むのが欠かせない業界では、翻訳サービスは常に需要があります。

今はほとんどのメディアや広告が紙媒体からWeb媒体に移ってきているので、当然翻訳の仕事もWebベースのものが多いです。

なっつん

Webデザインと英語は非常に相性がよく、両方勉強すると相乗効果があると思います。

すでにWebデザインの仕事をされている方は英語を勉強すればこんなオプションもつけれるようになるだけでなく、海外からの制作案件も受けられるようになるので良いことづくめです!

 

翻訳はどのくらい稼げるのか?

肝心の収入ですが、これは仕事によっても専門性によっても訳せる言語によってピンキリだと思います。

例えば私が初めてクラウドソーシングで受けた案件は「ブログ記事を日本語から英語に訳す仕事」で、単価は1文字3円でした。

1記事翻訳して大体5,000円〜10,000円くらいです。

ライターの仕事もクラウドワークスで受けたことがありますが、駆け出しライターの案件は単価1円いくかいかないか。

そう考えるとクラウドソーシングでの翻訳はライターに+αしたぐらいの報酬、と考えるとイメージしやすいかもしれません。

 

高報酬を狙うなら、産業翻訳の勉強をするのがおすすめです。

基本的には産業翻訳の方が単価が高く、仕事も安定しやすい傾向があります

例えば特許翻訳であれば月収100万円を超えている方のブログを読んだことがありますし、他には医薬翻訳も単価が高めに設定されています。

収入重視の方なら、勉強をして産業翻訳の分野を目指しましょう。

 

翻訳の仕事はAIに奪われるの??

たまにこんなことを聞くことがあります。

「Google翻訳などのサービスがあるから、もう翻訳や通訳は必要ないじゃん」という意見。

結論を言うと、AIに奪われる可能性はあるかもしれないけど、しばらくは心配いらないと思います。

みなさんご存知の通り日本のインバウンドは伸び続けています。

外国人、明らかにここ数年で増えましたよね?なっつんの出身北海道では、ニセコという町はもはや外国人に占拠されてしまっています。京都や浅草もそんな感じですね。日本人より外国人の方が多いです。

このインバウンド需要が続く限り、仕事はなくならないと思います。

実際にWebデザインと翻訳をしていて感じることですが、しっかりした企業・老舗のレストラン・インバウンドをメインにしている事業ほど、Google翻訳ではなくプロに頼みたいと思っているところが多いです。

Google翻訳の機械的な文章はどうしても不自然な点が出てしまうし、人の書いた文章の方がお客さんの心を動かせるからです。

なので将来性の心配は必要ないかなと思いますし、仮に翻訳がなくなったとしても外国語を使えることは自分の人生に99%メリットしかないので、無駄にはなりません。

 

語学が得意なアスペの方には翻訳がおすすめです

以上、アスペにおすすめな仕事の1つ「翻訳」についてまとめました。

ライターやデザイナーやプログラマーと同じく、シングルタスクでじっくり集中して取り組む仕事なのでASDをお持ちの方にとても向いていると思います。

英文科に通った、留学した、帰国子女などで使える外国語はあるけど、ASDで喋るのが苦手だからなかなか仕事に活かせない・・・と言う方、せっかく勉強した語学はお金に変えないともったいないです!

ぜひ参考にして頂けると嬉しいです。



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